家族信託について
家族信託のメリットとデメリットを考えます。
家族信託の仕組みについてお話いたします。
亀岡市、南丹市で家族信託に関心のある方、検討の方は参考にして頂ければ幸いです。
親が認知症になった時、親の財産の管理や処分はどうなるのでしょうか?
弊社の経験事案です。
2年前のことになりますが、南丹市の不動産所有者「お兄さん」が亡くなられて相続登記の相談を妹様から受けたことがあります。
相続人は、姉妹のお二人でした。
相談者のお姉さまが、認知症で施設に入院されていて、相続登記に必要な財産分割協議書の作成が出来ない為、裁判所に成年後見人制度の申請手続きを行うことになり、申請にかかる時間と、申請の費用、裁判所から任命された後見人の継続的な費用負担が発生した事案を経験しました。
亡くなられた年配のお兄様が、死後の相続のご相談を専門家にされていれば、お兄様が、妹様に家族信託されていれば回避できた事案ではないかと思っています。
家族信託の基本的な登場人物は、「委託者」「受託者」「受益者」の3者です。
- 「委託者」は、財産のもともとの所有者で、財産を信託する人
- 「受託者」は、財産の管理運用処分を任される人
- 「受益者」は、財産のもともとの所有者で、財産から利益を受ける人
委託者が財産の管理を受託者に任せ、その財産を受託者が管理し、その財産から発生した利益を受益者が得る仕組みになっています。家族信託では親のために子が財産を管理し、利益は所有者である親が得るなど、委託者と受益者が同じ人になることがほとんどです。
なぜ今、家族信託が注目されるのか?
家族信託が注目をされてきた背景には、高齢化と認知症の問題があります。厚生労働省の令和2年「介護保険事業上表報告」によると、要介護認定者数は、65歳から74歳で全体の1割強ですが、75歳以上になると9割弱と急増しています。年齢が上がるにつれて認知症になる確率も急激に上昇します。
認知症が悪化すると、銀行の口座などは凍結されてしまい、子どもでも親のお金を下ろせなくなります。そうすると、親の介護に手をあげた子どもが金銭的な負担も強いられることにつながります。
つまり、少なくとも70歳頃までに、認知症に備えた対策が必要といえます。「自分の財産のことで、子どもに迷惑はかけられない」。そういったニーズから、家族の高年齢化に伴う様々なトラブルに柔軟に対応できる家族信託が広まってきています。
2. 家族信託はどんな時に使えるか
家族信託は祖父母や両親の認知症対策に使える
家族信託の一番のメリットは、祖父母や両親が認知症になった時に、子どもが金銭を使えたり、不動産を処分したりすることができる点にあります。金銭や不動産の売買代金は、財産権を持つ祖父母または両親のために使用します。
家族信託では高齢の委託者に代わり、受託者が収益不動産を管理できる
高齢の父親が認知症になっても、賃貸管理等の事業を中断することなく続けていくことができます。
家族信託は「親亡き後問題」にも対応できる
知的障害がある子どもがいる場合に、親亡き後に頼れる兄弟姉妹などがいる場合には、家族信託を使って障害のある子を守る仕組みを作れる可能性があります。
頼れるきょうだいなどに、あらかじめ財産を信託しておき、親亡き後には、信託した財産から障害のある子のためにお金を使ってもらいます。
家族信託のメリット
成年後見制度より柔軟な取り決めもできる
収益不動産の経営をしている大家さんや会社のオーナー兼社長が認知症になった場合、成年後見制度だと、本来であれば経営に必要である将来に向けた投資をすることができません。本人の財産を減らさないために、将来儲かるかどうかわからない投資を実行することはできず、攻めの経営が制限されます。
この点、家族信託の場合には、子どもに大きな裁量を与えることができます。元の所有者(委託者)が財産管理の方向性を決めて、その方向性に沿って、子ども側は大きな裁量をもって柔軟に財産の管理運用処分をすることができます。そのため、上述のような、投資するなどの攻めの経営をすることも可能になります。
相続による遺族の負担を軽減できる
家族信託の遺言効果のもう一つの側面ですが、家族信託契約により承継者を決めておくことで、相続が発生した場合の遺産分割協議が不要になります。
家族信託のデメリット
財産の管理を誰もやりたがらない場合がある
家族信託の受託者を誰もやりたがらない場合があります。そうすると家族信託自体ができません。
親族間の不公平感を生む恐れがある
2人いる子どものうち、1人を受託者とした場合に、他の子どもに何も知らせず勝手に進めてしまうと、知らされなかった子どもから文句が出てくることもあります。
祖父母や両親に契約の同意を取りにくい
家族信託の主役は祖父母または両親です。そのため受託者候補の子どもの意向だけで進めることはできません。祖父母または両親が家族信託について理解し、進める希望をもらわない限りは進められません。
遺留分侵害額請求をされる場合がある
家族信託契約によって決めた後継者に財産権(受益権)を承継する際に、遺留分を持つ相続人がいる場合、遺留分相当額のお金を請求してくる可能性があります。
遺留分侵害額請求は家族仲を壊してしまうことにもつながる強い権利のため、遺留分が発生しないように設計することや、あらかじめ家族会議をしておくなど、未然に防止できる工夫をとっておくことも重要です。
家族信託の手続きの流れ
家族信託する場合、以下のような流れで手続きを進めることになります。
- 信託契約を締結する
- 信託口口座の開設
- 信託登記を行う
- 信託財産の管理、運用の開始
信託の目的や信託財産の範囲他には、財産の管理方法や処分権限の範囲、受託者・受益者が誰か、信託の終了事由などの取り決めが必要です。
又、信託財産管理用の銀行口座を開設する必要があります。受託者には、自分の財産と信託財産を分別して管理する義務があるためです。受託者自身の生活用口座と分けて管理する方が、あとあと問題になりにくい点もメリットです。
そして登記を行い、運用が開始されます。
関係者全員が家族信託を理解しておく
推定相続人等を含めた関係者全員の理解を事前に得ておくことが重要です。トラブルに発展する大きな原因として、知らされていなかったという負の感情があるからです。関係者全員が納得して進めていくことが、将来の紛争を予防します。そしてそれが主役である親の願いだと思っています。
また、どうしても関係者全員で話すことができない場合には、専門家を頼ってください。
当社でも、弁護士、司法書士、税理士等のご紹介もできます。
子どもが50代になったら家族信託の利用を検討しよう
・最近、親に認知症の症状が出てきた
・親から財産管理が不安で相談されている
・父親は大丈夫だが、母親が認知症で施設に行っている
など、きっかけは様々です。
・親から財産管理が不安で相談されている
・父親は大丈夫だが、母親が認知症で施設に行っている
など、きっかけは様々です。
家族信託は、所有者が認知症になってからではできない対策になります。早めに準備すればするほどできる対策は広がります。
当社へお気軽にご相談ください。